人材教育を考える:本当に教えなければならないこととは

2020/07/20

考察 雑感 労働

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こんばんは、蘇芳陸式です。

今日は人材教育を行う上で進んで教えるべきと考えていることと、逆に進んで教えざるべきと考えていることについて書きたいと思います。
蘇芳陸式はIT系の人間ですので、これを考察するに至った経験は全てIT系由来のものですが、その中からIT系だけでなく様々な業界に適応できるであろう内容を抽出、抽象化して書いています。

なお、概ね自分の経験に基づく個人の見解ですのであしからず。

進んで教えるべき

業界知識

どんな仕事でも教育する時に最優先するべきは、業界に関する知識を十分に教えることです。
蘇芳が従事しているIT業界では、例えばプログラムテクニックであったり設計手法であったり、
小手先の技術を優先して教えるべきと考えている教育担当者はよく見かけますが、
私はそれらの優先度は高くないと考えています。

端的に言えば、業界知識が付けば技術は後からついてくるのです。

もっと言えば、業界的に重要視されている設計開発の方針を深く理解すれば、学ぶべき技術の範囲と優先度が自ずと見えてきます。
学ぶべき技術と優先度が見えていれば、手当たり次第に学習するよりも高い効率で技術を学ぶことが出来るのです。

ですから早い戦力化を企図する場合には、まず業界に関する知識をしっかりと教えます。
これはIT系に限らず他の業界でもそうではないでしょうか。

とりわけ私の場合は、以下の二点を重点的に教えます。

業界での標準的な仕事

まず教えるべきは業界的に標準と目される技術や仕事の進め方です。
これは教える側にも相応の勉強が必要になる内容ではありますが、まずこれがなければ何も話は進みません。

私の場合、まず業界的にどのような仕事の仕方をしているのかは、Web情報や書籍などで知識を仕入れます。
次にこれを土台とした上で、業界交流会へ参加して同業他社の方々との情報交換や、展示会などに参加して担当者レベルの方が捕まれば、詳細な他者事例の収集を行います。

この時にポイントとなるのは、まずひとつにWebや書籍の一次情報を過信しすぎないこと。
これらは言ってみれば非常に抽象的で、実際の業界を反映した情報であるとは言えない場合がほとんどです。
またもう一つのポイントが、5年程度の期間に区切って2,30年ほど前までの情報を纏めておくことです。
もちろん纏める期間は業界の変化の速さに依存しますから、それが1年であったり、10年であったりしても構いません。

こうすることで、連綿と続く業界の仕事の中で、現在がどういう仕事が良いとされており、それが良いとされるに至るにはどんな経緯があったのか、各社はその仕事の仕方とどのような付き合い方をしているのか、説得力を持って教えることが出来ます。
これを教えるだけでも、メンバの中には十分に自分の仕事の方針を推し量れる人が出始めます。
また同時に、自社の仕事に対して疑問を持つ人も少しずつ出始めます。

一般的にこうした疑問は押し殺されがちですが、私はこうした疑問はむしろ、持った人を大きく伸ばす切っ掛けだと捉えています。

業界と自社の差分

先に述べたとおり業界の仕事の仕方を教えると、それと比べた自社の仕事のまずさが目について、疑問を持ってしまう人が出始めます。
こうした疑問を封殺してしまうと、後にそのメンバのモチベーションの低下や離職に繋がっていくため注意が必要です。

私の場合は、こうした疑問を持つ方にはむしろ自社が何故そのような仕事の仕方に陥っているのか調べ、しっかりと業界と自社の仕事の差分を明確に説明するようにしています。

これは教育を施した要員から納得を得られるかどうかが別れる重要なポイントです。

多くの会社では、世間一般に氾濫している情報を見た上で一見すると不合理な仕事の仕方というのは多くあります。
それがない会社というのはまずないでしょう。

しかしそんな状態であっても、不合理な仕事の仕方で自社の仕事は回って、事業は続いてきているのです。
なぜなら現代において不合理な仕事の仕方であったとしても、その仕事の仕方に変化した時代や経緯を考えれば、初めは一定の合理性を持った仕事の仕方だったからです。

ですから、一概に現状のまずさを批判的に捉えさせるのではなく、まずさを何故まずくなったのか、といった部分まで含めて教えます。

当然その上でも変えなければならないと思う部分は、教育して現場で共に仕事をする上で自然と浮かび上がってきますし、適切に教育ができていれば恐らく教育したメンバとは意見が一致するはずです。
つまり、この事柄を教えるということは、業務への戦力化を図ると同時に、自社の仕事を改善する時に重要な味方を作るということでもあります。

会社組織にとって、特に社会的な変化の早い現代においては、業界知識の教育を優先することでこのような一挙両得的な教育を実現することが出来るのです。

進んで教えざるべき

社会人としての振る舞い

逆に業務遂行レベルに追いては、社会人の振る舞いを優先する方というのも多く見受けられます。

はっきりと言い切ります。
どうでもいい最低の教育です。

社会人としての振る舞いは、業務遂行に入る前に教えられていると考えるのが妥当です。

そのうえで実際に業務に投入された後に、なんらかの業務にそぐわないふるまいが発生した場合、それは社会人としての振る舞いが出来ていないのではなく、実地でのケーススタディが足りず理解が追いついていないのです。
つまり、問題が発生した場合は発生した問題に注力して対処する必要しかないのです。

ひとは座って文献を読んでノートを書くよりも、実際に自分の行った行為に対する結果を得るほうが、圧倒的に早く深く理解が進みます。
ですから社会人、もっと言うなら業界人としての振る舞いというのは、業務を適切に教え、業務への理解が醸成されるに従って次第に出来てくるのです。

それが失敗させたくないという優しさからであっても、要員教育においてはこのような内容を教えるのに時間を割くことは避けるべきです。

技術

これも私の場合進んでは教えません。
技術はどんなものであっても用の術なのです。

つまり教えられる側が必要と感じなければ、どんなに言葉を並べたところで、それは身についていきません。
それどころか、必要と感じていない内容に対して時間を使う自分に対する反感がうまれ、それがひいては必要な技術に対する反感につながることもあります。

どんな業界であっても、仕事をする上では自分が面白いと思ったり、自分が業務を円滑にこなすために、+αで取り入れている技術があります。
またそれを追求するのは大変楽しい行いなわけですが、教えられる側はそれを必要と感じるか、楽しいと感じるかは別問題なのです。

もちろん、教えられる側が学ぶために聞くという手段を取ってきた場合、それは教えられる側も必要を感じてのことなので、好機到来とばかりに全力で教えるべきでしょう。
しかしながら、自分が伝えたい、教えたいという動機から技術を教えるために時間を割くことは避けるべきです。

さいごに

今日は自分が人を教える上で、何を教えたらその人のためになるのか、何を教えないほうがその人のためになるのか意識している内容をざっくりと書きました。

もちろん人によって教える内容に関する見解は様々だと思いますが、人材教育を行う上では常に教えられる側の利益を考えながら教えたいものですね。

それでは

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