皆様こんばんは
前回の解像度とfpsのお話に引き続き、本日は非IT系の方に向けて動画像とは何か、という部分に着目して技術解説していきたいと思います。
これを読むことで、何故動画のfpsを上げるのが大変なのか?
という部分が理解してもらえると思います。
動画のfpsはなぜ上げられない?
動画像と静止画像
さて、前回から私の記事では動画像と称していますが、動画と動画像は一緒のものです。何故動画像とわざわざ書いているかと言うと、動画像が静止画像を何回も表示し直すことで、動いているように見せている画像だからということ。
また、本質的に静止画と表示処理の内容は同じということをイメージしていただきたいからです。
前回省いた説明:fpsとは
動画像が静止画像の表示し直しで動いて見えている、ということは、人間が一枚一枚の画像を止まっていると感じる前に、次の画像を表示しているということです。この表示のし直しを一秒間に何回行うか?これを表す単位が
fps( frame per second : フレーム パー セカンド: 秒間フレーム数 )
です。
つまり
24fps では一秒間に24回
30fps では一秒間に30回
60fps では一秒間に60回
画面に画像を表示し直しています。
当然fpsの値が大きいほど、動きに停止が挟まれない現実の世界に近く見えるということでもあります。
ですが一般的には30fpsで動画は作られています。
これは何故なのでしょうか?
そもそも画像とは
この解説の間にそもそも画像とは何でしょう?この画像を見てください。
これはテレビの画素を拡大したものです。
私達が見ているコンピュータのモニタやテレビ、携帯に至るまで、全てのカラー画面はこのような3色1セットの光の点が並べられて作られています。
1280x720という画質を表す数字は、この3色セットが横方向に 1280 セット、縦方向に 720 セット、全部で 921,600 セット並んでいるということです。
そしてコンピュータの中ではこの1セットの光のなかの赤緑青それぞれの明るさを記録するために、3Byteのデータ量が必要です。
コンピュータの中で画像というのは、3Byte一組の 921,600 個のデータの集まりなのです。
それとfpsになんの関係が?
さて、ではこれがfpsとなんの関係が有るのか解説しましょう。ちょっと数字が多くなります。
まず画像、これは 3Byte 一組のデータが 921,600 セット並んでいるので、2,764,800バイト、およそ 2.8 MB のデータが動画の 1 フレームごとに必要です。
30fpsの動画編集には、動画1秒あたり 82,944,000 バイト およそ 83MB のデータ量を必要とします。
さらに10分の動画では、49,766,400,000 バイト つまり 49GB ものデータ量が必要になるのです。
実際にはフレームごとの変化量だけをメモリに展開する、計算できるものはハードウェアで計算してしまうなど、上手なデータの扱い方があって、丸々このデータをメモリ上に展開するわけではありません。
ただ表示するだけの場合の、数フレーム分のデータをメモリに置いては消せばいいのとは異なり、動画像編集に使用するメモリというのはこの膨大なデータを何十秒分か常にメモリに置いておく必要があります。
それだけでも、動画像編集がいかにコンピュータに負荷をかけるかは感じていただけるかと思います。
この負荷がコンピュータの処理能力を超えたときに、動画編集ソフトがカクカクしだしたり、止まってしまったりするのです。
これを解決する方法は、基本的に上手なデータの扱い方や専用のハードウェアで高速に画像を処理してくれる、グラフィックボードのような専用回路をパソコンに付け加えるしかありません。
それはつまり、極端に高品質な動画を作成するには費用をかけるしかないということです。
しかし幸いにも前回の記事で解説したように、一般的なハイビジョン放送程度の画質とfpsの動画編集であれば、ミドルスペックPCくらいの性能で問題なくこなせるので、自分の放送スタイルとして高精細な画質やfpsが本当に必要なものかどうかは見極めていきましょう。
さいごに
さて、今回は動画とは何か、画像とは何か、何故動画編集時にfpsを多くするのが難しいか、という点を解説しました。動画編集も最近は随分一般化して、非IT系の方でも気軽に手を出せる趣味となりました。
しかしそういった中で高額な機材を買って使いこなせないまま持ち崩すことは大変もったいないことですし、理屈がわからないまま思うとおりにならなくてモチベーションを落としてしまうのももったいないことです。
ここで解説しているのは本当に画像や動画の処理の触りの部分の知識ですが、これを足がかりにより高度な解説を読みこなす助けになってもらえたらと思います。
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